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[ 1]生涯スポーツとしてのトライアスロン(1) [13]ピンチをチャンスに
[ 2]生涯スポーツとしてのトライアスロン(2) [14]スイムもナンバで
[ 3]ナンバ歩き [15]トライアスリートの菜食主義
[ 4]ナンバについて [16]菜食のすすめ
[ 5]ナンバ歩きの実践 [17]トライアスロンが教えてくれたこと
[ 6]競技志向の落とし穴 [18]生きる力を養うトライアスロン
[ 7]みなさん、国体に参加しましょう [19]100歳でも現役のコツ
[ 8]今年の宮古島、そして淡路大会 [20]生活に役立てるトライアスロン
[ 9]自転車通勤の極意 [21]高齢者のトライアスロン
[10]トライアスロンを人生の黄金期に活かす [22]トライアスリートは求道家なのか
[11]田山さんワールドカップ優勝とYao Logic [23]科学的に解明される魂とは
[12]転機を迎えて
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[11]田山さんワールドカップ優勝とYao Logic

テイケイの田山寛豪選手が12月1日のイスラエルでのワールドカップ・エイラート大会で優勝したとのJTU(社団法人日本トライアスロン連合)からのメールが入って、私は嬉しくてすぐに仲間にメールで伝え、自分のことのように喜びをかみしめた。昨年に協会が20周年を迎え11月17日には設立記念パーティが開催され、八尾監督は末松会長はじめ多数の来賓の前でプロジェクターを使って活動を紹介し愉快な話で会を盛り上げてくれました。そしてなんと北京オリンピックでの田山さんの金メダル獲得を高らかに宣言されました。その直後のワールドカップで見事に田山さんが優勝してしまったのだから、やはり相当自信を持った仕上がりだったのでしょう。


兵庫県川西にテイケイあり、八尾監督、所属選手、スタッフや家族と共に地元兵庫で長年兵ト協(兵庫県トライアスロン協会)の活動を支援してくれた仲間ですから、私たち役員としてこれほど嬉しいニュースはありません。同大会では女子の井出樹里(TEAM KEN'S)も2位でゴールし、猪谷会長以下JTU役員の皆様も飛び上がって喜んでおられることでしょう。これでマスコミやスポーツ界からも注目度は一気にアップし、同時に21世紀のスポーツとしてトライアスロンの普及と人気に弾みがついて欲しいものです。

しかし田山さんは優勝後のインタビューで「練習もハードだったが、何よりメンタル面を強化したのが勝因」と語ったそうですが、技術的なことだけでは厳しいトライアスロン競技の世界で結果を出せません。人を指導するということは本当に難しいことですが、生活を共にし選手の資質を引き出し育てる、日常生活全般の精神面や食事などの管理や指導も八尾さん自身が精進し自らも厳しく磨いてきた賜物だと思います。小原さんはじめすばらしい選手や人材が八尾さんの下に集まってきて成し遂げた大仕事でもあり、大いに敬意を表したいとおもいます。

その八尾さんのYao Logic紹介のDVD「2軸トライアスロンで楽に速くなる」がトライアスロン誌から発売されていますが、この機会にトライアスロンだけでなく他の競技からも注目されて欲しい作品です。彼自身が監督兼選手としてトライアスロンを長く実践してきた知恵の集大成で、私たちも悩まされた旧来のトレーニング理論の誤りをきっちりと正し、丁寧に判りやすく解説した優れものです。疲労性のケガや慢性の持病の多い人に、そして定年後の生涯スポーツとしてこれからトライアスロンを始める方の入門書としてもこのDVDは必見です、私たち段階世代の間違った古い固定観念を一掃し正しい方向に導いてくれますのでぜひお奨めです。

トップアスリートの世界で他にどのような理論があるのか詳しく知りませんが、私自身が大切にしている健康管理の視点から、八尾さんのトレーニング理論は生涯スポーツとして安全で健康的なトレーニングを阻害しないために有効だと思っていますが、一流の選手にとってもそれは同じでしょう。その点で八尾さんの2軸理論の普及に拍車がかかれば良いと思います。

このDVDで八尾さんは「こどもの時は自然に2軸を身につけていたのに、大人になって1軸になる」と語られているように、私も「子供の頃は運動靴がつま先が開いてぼろぼろになるまで履きつぶした」ことを思い出して、古武道の姿勢を参考にし改善されたこと」をこのシリーズの第3章「ナンバについて」で書きました。この時に私は武道の腰・腹文化やナンバの体の使い方を参考にしました。戦国時代の武将は正に太刀、槍、弓、体術、馬など武芸十八般を命がけで朝鍛夕錬していた訳ですが、その体術の中に真髄があって当たりまえでしょう。戦後この古武道の知恵が簡単に失伝してしまって、ヨーロッパ型の運動理論に洗脳されてしまったのは誠に残念なことです。

剣道もスポーツ化し、審判制度を採用して可笑しくなりましたが、柔道もオリンピック競技になって変わってきました。古武道界でも黒とか白帯の段位は単に集金目的になってしまい、華道、茶道の家元制度のように名誉欲を満足させるだけのものになっています。ある柔術の流派にはヨーロッパ各地に1000人近い弟子がいますが、彼らは宮本武蔵の五輪書を読み、日本文化や武士道精神に憬れて昇段試験を受けに来日しますが、宗家は立派な方ですが日本の弟子の数は減る一方と情けない状態です。武士道精神などの日本文化に否定的な時期が戦後長く続きすぎた影響が大です。

気功、太極拳は中国武道であるはずですが、経歴の浅い人が健康法として高い受講料をとり間違ったことを平気で教えて。日本の古武道では免許皆伝して初めて指導を許される訳ですから簡単に指導者になれません。そうした方は日本の伝統文化を受けつぎ後世に残すという使命感や誇りを持っておられる方が多く、歴史や古典に詳しい優れた指導者がたくさんいます。そうした人ほど「武士は食はねど」で、清貧を大切にし世に出てこられないジレンマがあり残念なことです。

こうした環境の中でも日本の悠久の歴史で育まれた古武道文化はそう簡単に廃れないのでしょう。古武道の知恵が徐々に日本のスポーツ界に復活し始めています。その代表的なのが甲野善紀のナンバとして有名となりましたが、Yao Logic2軸理論も日本人古来の体術の知恵、根幹である腰と腹の使い方、自然体の構え上半身の脱力など日本文化の知恵が生かされています。アスリートには膝の故障の方が多いですが、西洋化した住宅で椅子に座ることが当たり前になって畳の間での生活が失われたのが原因ではないでしょうか?正座はヨガの金剛座と言われるほど価値のあるもので、膝の強化やケガの防止にもストレッチとして失いたくない生活作法であり、日本の誇るべき畳文化ですので和室空間が見直されるべきでしょう。

最後にもうひとつ嬉しいニュース。村上春樹の「走ることについて語るときに僕の語ること」を読まれましたか?これはエネルギッシュに作品を生み出す村上春樹氏の鉄人的な著作活動の秘訣が明かされ、なるほどと私たちトライアスリートと人生観を共有できる内容でした。ほぼ毎日10キロを走り、週3回のスイム、夏はバイクを加え村上大会やNY、ボストンのフルに挑戦してきた生き様、その日常生活やトレーニング法の詳細が記述され、刺激の多い本でした。「ハルキストの1%でもトライアスロンを始めてくれたら」と期待したいですが、今年は兵ト協の流れも上向きなのできっと良い年になります。
(2008年3月記)

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