Sala santi logo
[ 1]生涯スポーツとしてのトライアスロン(1) [13]ピンチをチャンスに
[ 2]生涯スポーツとしてのトライアスロン(2) [14]スイムもナンバで
[ 3]ナンバ歩き [15]トライアスリートの菜食主義
[ 4]ナンバについて [16]菜食のすすめ
[ 5]ナンバ歩きの実践 [17]トライアスロンが教えてくれたこと
[ 6]競技志向の落とし穴 [18]生きる力を養うトライアスロン
[ 7]みなさん、国体に参加しましょう [19]100歳でも現役のコツ
[ 8]今年の宮古島、そして淡路大会 [20]生活に役立てるトライアスロン
[ 9]自転車通勤の極意 [21]高齢者のトライアスロン
[10]トライアスロンを人生の黄金期に活かす [22]トライアスリートは求道家なのか
[11]田山さんワールドカップ優勝とYao Logic [23]科学的に解明される魂とは
[12]転機を迎えて
健康道場サラシャンティのHPへ>>


[3]ナンバ歩き

環境問題では江戸時代の全循環システムとか日本人古来の生活が見直されている中、ベストセラーになった「バカの壁」の養老猛、「身体感覚を取り返す」の齋藤孝の本が良く売れており、古武道の体術などの伝統文化の復活の兆しがあります。前号では胆力、スリ足、サバキ、ナンバなどの古武道のカラダの使い方について書くと予告しましたが、タイミング良く「ナンバ歩きで脅威のカラダ革命」が立風出版から出ました。この中でチームテイケイの八尾監督がTJ誌の中で述べられている「2軸理論」も紹介されていて参考になりますので是非読んで頂きたいと思います。インターネットでも「ナンバ歩き」で検索すると以前よりずっとその数が増えました。どれも似た様な内容ですが、ここでは私の体験を通して自論を展開させてください。

いきなり「かかと着地は間違っている」と言うと、「え、ウソ」と思われるでしょう。そう「ナンバ歩き」は足の裏をフラットに着地します。だから平地では少し踵から着地するでしょうが、「爪先着地」を意識した方がうまくいきます。困ったことに最近女性に人気のデユーク更家さんは日本人のすり足は間違いと確信をもって言われてます。が、果たしてそうなんでしょうか? 美しく歩くことで日本の女性が生き生きと健康になるのですから、彼の活動は素晴らしいことだと思っていますが、でも先日テレビでの映像をみたら疲れたれた人が膝から下だけ動かす歩きを「すり足」と示して。日本人の歩き方は間違いと言われると、何千年の長い生活から生まれた日本の体文化の狂言、能、舞、相撲から各種の古武道などの「すり足」まで全否定されてしまいそうで心配です。

古武道に沢山の流派がありますが、どれも死ぬか生きるか自分の命を守るために必死に編み出され受け継がれて長い間に一つの流派となり現代まで生き残った体の文化です。古武道は一般に型稽古として伝授され、繰り返し稽古する事から理合を学び上達できるのですが、習う時も真剣でなければなりません。日本のような平和ボケの社会で命がけになって朝鍛夕練せよと言われても実際難しいところです、しかし理合をきっちり指導できる良き師範と出会う機会があったらぜひご縁を大切にしてください。こうした貴重な体術の知恵が明治以降に否定されてしまったのは大変勿体無いことでした。

フルとか100キロを走っていて気付いた人は多いと思いますが、体を捻る走りより、捻らない走りのほうが楽だと思った人は多いと思います。そして腰から、あるいは肩から順に又は同時に足を出すようにすると「ナンバ」になり走りが楽になります。それは捻りが入らないし、腰から振り子運動で足を出すようになりモモ挙げ・蹴りが少なくてすむからです。私がトライアスロンを始めた時に一番嫌だったのは、シューズの踵の外側ばかりが減って、爪先部分は新品同様で捨てるのが惜しかったからです。しかしある時マラソンの一流選手は靴の全体とか前の部分ばかりが減ることを知って私は自分の走り方に疑問を持ったのです。子供の頃を思い出すと、運動靴はつま先部分が開くほどボロボロになるまで履いていたことを思い出し、なぜかと考えました。そして子供の頃はつま先着地だったのではないかと気付いたのです。

私は若い頃痩せていて猫背であまり健康でない自分が嫌いで、社会人になってから健康になりたくて気功、ヨガ、大東流合気柔術、太極拳などを習いました。そして神道夢想流杖道に出会い、気に入って頑張る内に元気になってトライアスロンまで挑戦するようになりました。しかしトライアスロンを始めて7年目の44才のときに股関節を痛めて歩けなくなりました。ランは速く走りたい一心でモモ挙げ、蹴りを意識したストライドの広い走法で頑張りすぎ、足底筋膜炎、坐骨神経痛そして股関節へと発展してしまいました。杖道の稽古時に腰が痛くて伸びなくてへっぴり腰になり、しばしば師範に注意されていました。

いよいよ走れなくなった時、半年ばかりの間クロールと軽いバタ足だけの練習に留めて回復を待ち、痛みが消えてからは阪神今津駅にある道場から練習を終えた後、前NTT監督佐々木功の著書「ゆっくり走れば速くなる」のLSD走法で阪急六甲まで「歩く人よりゆっくり走る」超スローで帰ったりしました。また高石友也の「ネコ足」走法も真似て、杖道とランの姿勢が対立していた事に気付きストライド走法からピッチ走法になりました。武道の構えで走るとは、相撲取りのように腰を前に出す、すなわちヘソを突き出すようにして走るです。これで杖の構えとランの姿勢を同じになり、それ以来武道のへっぴり腰も注意されなくなり、前述したケガも再発しなくなりました。

さらにレースでのランのタイムは改善し、翌年45歳の時の篠山では自己ベストを出し、徳之島では年代別1位になり、サイパンでは2位になりました。その時以来、この走り方をサムライ走法などと仲間に言って笑われましたが、いまやっと世間ではナンバが再評価されるようになってきました。モモ挙げしない、つま先でけらない、足を振り子のように腰から動かしフラットに着地すると、足がリラックスして疲労が溜まりません。すなわち姿勢を維持する胴体力周辺の筋力を整えるのが超スローLSDの目的で、長時間走る事で有酸素機能が開発され、省エネのナンバ走法で疲れない走りができるようになると、結果的にランの記録が向上するわけでした。

しかし上記の走法に改善した後も、靴底の踵が一方的に減る習慣がなくなるのには時間を要しました。ちょうどその頃にテイケイ八尾監督の初動負荷理論を教わり肩と股関節の柔軟性が大切なことに気付き、震災後ヨガを始めました。ストレッチの大嫌いな私ですが、ヨガを始めて4年ほどたって何気なく靴底を見たら、なんとびっくり、爪先から足の裏全体がしっかり減っているのでした。私にとっては本当に長い間の悲願が達成したわけですが、やはり柔軟な体でないと足腰がうまく機能しない事が分かり、生涯元気に体を維持する為にヨガやストレッチのケアが大切なことが分かりました。もしあなたが以前の私のように踵の外側ばかりが靴底が減るのでしたら、スグに修正された方が良いでしょう。
(2004年5月記)

<<前へ  ページのトップへ  次へ>>

Copyright Masahiro Shimizu. All rights reserved.