阪 神 大 震 災 を
記録しつづける会

ご注意:リンク付けした手記が出るのに、時間がかかることがあります。
開始時期  平成7年2月中旬(地震から約1ヵ月後)手記の公募をはじめる。
 第1巻は、3月15日に締め切り5月に出版。
動機  地震後、有志が何か自分たちにできることはないかと考えた。
 そこで、記録に残りそうにない外国人の方々の手記も集めようと、カ国語(日本語・英語・中国語・朝鮮語)でポスターを避難所や目立つ場所に貼った。
既刊  以来毎年1冊ずつ、平成15年9月には9巻目を出版。
 ホームページでも公開している。
 機関紙「ぱぴるす」は随時発行。平成15年9月現在で、26号まで発行。
スタッフ ★ 編集委員 5名 手記の選抜と入力、編集を行う。
★ 各賞選考委員 5名 掲載手記の中から各賞を決める。
★ 賛助会員  活動を年会費で支援する。
採用基準  文章のよしあしや被害の大きさではなく、記録としての価値。
 自己責任で、いかにプライバシーを開示しているか?
数字  10巻までで
 投稿総数    
1,134編 (うち外国人 107編)
 採用手記数    434
記録しつづける意義  地震直後より、その後が大変。
a. 身内を亡くしたといった深刻な被害を受けた人の中には、その直後のほうが元気で、時間がたつに連れ元気を失ったり、こころの復興が進まなかったりする人がいる(注1)
  娘さんの3回忌を済ませたら、何もやる気がしなくなった父親(注2)や、自宅再建後うつ病になった戸主(注3)もいる。
b. 2次災害の記録
   インフラ復旧までの不便
(注4)、野焼き(注5)やヘリコプターの騒音(注6)、再開した商店の苦悩(注7)(注7')、自宅再建後の経済苦(注8)など。

 時間が経過して、はじめて言えることもある。
a. 心に大きな傷を負った人(注9)
  いまだに明かりをつけないと眠られない。外を通る車などの振動に恐怖する。
  
b.
 報道する側の問題(注10)
  
c. 大きな被害は受けなかった「普通の被災者」の感想(注11)

d.異論・少数意見
  第5巻に北海道の元JR駅長さんが、「東京大空襲の救援隊に参加した経験者の目から見ると、阪神大震災の被災者は極楽にみえる」(注12)と投稿された。

e. 「被災者正義論」から外れる記録。
  朝、生き埋めになった隣人を命がけで助けた人が、夜、避難所で救援物資を独り占めしていた(注13)。普通の人が被災したのだから、善悪どちらの行動をしても当然だ。「被災者の行動や言い分が常に正しいわけではない」という、当たり前の記録。
活動から得た気付き  「豊かな時代」の災害(注14)

 戦中・戦後に苦労された、北海道の元JR駅長さんのような世代の方々は、モノの豊かさを基準に、被災者の苦悩を軽視しがちだ。

 阪神大震災の被災者は、「豊かな社会」の被災者である。最低限の衣食住が保障されているために、かえって生きがいが見つけにくい。これを「ぜいたくな悩み」と切り捨ててしまっては本質が見えない。
 被災者が抱える苦悩は、日本の社会全体の課題と共通する。

 「豊かな社会」に不足しているのは、生きがいの選択肢である。
 
 生きがいの創造(注15)

 被災地ではボランティア活動が活発になった。これは生きがいの創造につながるし、ひとり住まいのお年寄りのケア、介護、青少年問題など、今まで家庭内で解決していた問題を、(行政だけではなく)社会が支える仕組みとして有効だ。

 家庭内問題の社会化

 核家族化した現代の日本では、家庭内で解決できない家庭内の問題がたくさんある。世間体が悪いから、プライバシーが侵されるからといって無理に押さえ込むから、問題が深刻化することもある。社会にゆだねる勇気も必要だし、行政以外にその受け皿も必要だ。

活動の課題  「本音を書いても大丈夫ですよ」という雰囲気づくりが課題だ。

 人の考えは、その立場と考え方の癖と持っている情報で決まる(注16)
 立場と考え方の癖は個性だから違って当然と考えないと、建前ばかりの手記集になってしまう。

 本音の手記を集め、情報を共有することによって、筆者や読者の考えが変わったり、共感できたりするようになれば素晴らしい。

 情報を発信する側の工夫が問われている。

 被災地には被災地外の人々に役立つヒントが満ちている。被災地外の方々に、いかに興味を持ってもらうかが課題だ。「明日はわが身」(未来の被災者)と考えていただける情報の発信が必要だ。
 地震は日本社会全体に潜在化している問題を、前倒しで集中的に顕在化させた。ひとり住まいのお年寄りなど社会的弱者のケア、不振な商店街をどうするか、衣食住の獲得を超えた生きがいの見つけにくさなどだ。 このような視点での発信も有効かもしれない。

10 活動の今後  出版は、10年、10巻をもって終了する。
 それ以降は、集積した記録の告知を活動のミッション(使命)とし、ホームページでの資料の公開や翻訳作業を行う。
(文責) 代表 高森 一徳


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