毎日新聞


2015年1月11日朝刊


【阪神大震災20年:空白の10年 復興する心 被災者手記集を復刊】

代表者遺志、めいが継ぐ

阪神大震災の被災者の手記集を発行してきた「阪神大震災を記録しつづける会」は10日、11冊目となる新たな手記集を10年ぶりに完成させた。

震災の1995年から、ほぼ毎年発行してきたが、代表者の死去で2005年を最後に途絶えていた。
震災20年を機に、めいが遺志を継ぎ活動を再開。「被災者の心の移り変わりを知り、震災との向き合い方を考えるきっかけに」と話している。【川畑展之】

同会は震災直後、神戸市で出版業をしていた高森一徳さんが設立。
各地の避難所にポスターを張って、被災者から寄稿文を募集し、手記集にして年1冊のペースで発行してきた。
ところが一徳さんが04年に病死し、活動は中断。
手記集は10冊に上り、遺族の苦しみや復興への提案など計438編がまとめられた。

めいで大阪大大学院生の高森順子さん(30)=兵庫県芦屋市=は関西学院大生の時、復興の街づくりを学ぶ中、手記集を読み、執筆者らと交流。
阪神大震災20年に合わせて11冊目の発行に乗り出した。

10日には神戸市内で完成記念会があり、執筆者ら13人が出席した。

長女の希(のぞみ)ちゃん(当時5歳)を亡くした保育士の小西真希子さん(55)=神戸市灘区=は05年発行の10冊目で
「希が生きていたらと考えると、幼稚園を卒園する頃、小学校の入学式を迎える頃、母の日、父の日、誕生日、と節目、節目が本当につらく、そんな時は家の中でじっと一日が過ぎるのを待ちました。
そんな事が何年も続きました」とつづっていた。

昨年、新たな寄稿の提案を受け、10年ぶりに手記を書いた。
毎年祝っていた希ちゃんの誕生日を、20歳をきっかけにやめたことに触れ、
「20歳になった娘はどんな女性になったでしょう。
友達もたくさんいるでしょう。ひょっとしたら彼氏もいるのかもしれません」
と記した。
小西さんは取材に
「20歳は一つの区切りになった。これからは自分のために生きて行こうと思う」と話した。

11冊目は17日付で1000部発行し、希望者に無料配布する。
ホームページ(http://www.npo.co.jp/hanshin/)での公開も予定している。