To be or ...(2)

伊藤 未斎
(平成16年11月号)

 今月も、易断の実践編です。

 「血圧・血糖値・尿酸値・γ(ガンマ)GTP値、いずれも高く、体はボロボロです。低いのは収入くらいでしょうか。この先、体をだましだまし、生きてゆくのもなあとも思うのですが、どうしたものでしょう?」というご相談でした。年齢は62歳、中小企業の役員さんです。ジョーク交じりのご相談ですが、ことは深刻です。

 まず相談者がうつ病ではないかと疑いましたが、すでに検査を受けておられ、その疑いはないそうです。
 「明るい自殺願望者」のようです。


 その日の衣食住にも事欠いた敗戦直後、自殺者はほとんどいませんでした。アイシュビッツの収容所でもしかり。
 これらの事実は、気力と体力がないと自殺はできないということと、体調も含めたストレスは、相対的であるということを教えてくれます。
 一分一秒でも長生きをするのが、人間の使命(ミッション)ではありません。尊厳死は人間の特権ですから、他人に迷惑をあまりかけないのなら選択肢の一つとして十分考えられます。
 しかし、ストレスの解消法はあります。今受けているストレスより、大きなストレスを見つければ、今のストレスは吹っ飛んでしまいます。たとえば、頭痛に悩まされているのなら、小指を切ってみてはいかがでしょう? 間違いなく、頭痛は吹っ飛んでしまいます。
 そんなばかばかしいことをするまでもなく、ストレスは相対的なもので、現在のストレスがたとえ解消されたとしても、人間は次のストレスを見つけ出すものです。
 「そうあわてずに、様子を見てはいかがでしょう」と、お答えしておきました。他人からは絶望的に見える病人でも、「昨日より、今朝は少し体調がいい」「初雪が見られた」「お花見ができた」「孫の顔が見られた」など、喜びや楽しみの種はたくさんあります。人生には、その境遇になってみないと分からない喜びがあります。
 「明日を煩うな、明日は明日自身が煩ってくれる」

 「今月の易断」の連載は丸6年、72回になりました。ご愛読ありがとうございました。